vol.14 考えを巡らせるひととき

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昨日は何年かぶりに日本美術を観に行きました。

出光美術館で開催されている「しりとり日本美術」という展覧会で日本美術の鑑賞入門になっています。

日本美術と聞いてどんなことを想像しますか。なんとなく難しい印象がありますか。それともすぐに具体的な作品や作者が思い浮かんだりしますか。

私は日本美術は西洋のものと比べて馴染みが浅く、素晴らしいとわかっていながらもその良さに距離をおいていました。

今回の主催側の意図は、美術作品をじっくり見て楽しむことを目指して企画したそうです。いつもよりもう一歩だけ作品に近づき、難しいことは考えず、じっと見つめる。それだけで鑑賞の楽しさは広がるそうです。そして鑑賞のヒントとして「しりとり」をする見方を提案しています。言葉遊びのしりとりではなく、作品どうしのイメージの共通点を見つけること、つまりは最初に見た作品に描かれているイメージが隣の作品にもつながったり、何度も繰り返し登場するテーマや図柄があることに気付けるそうです。日本美術に共通する美意識や魅力を感じ取ってもらうよう構成されています。

順路のところどころに問いかけがありそこでもイメージを膨らませることができます。

作品を一つひとつ見ていくと、どうしてこの構図になったのか、この屏風は色のトーンが統一されている、このかんざしは細やかな装飾、この香炉は金色をふんだんに使って豪華、このモデルの表情の意図するところは等いろいろと自分の考えを巡らせることができます。あるお皿の前で水上に飛び跳ねた魚の上に雲のかかった月があり、これのどこが素晴らしいのだろう、と斜に構えて観ていたのですが、じっと眺めていると月明かりのもと魚の跳ね上がる瞬間がぱぁっと映像で自分の中に現れ、夜の静けさの中に一瞬の音と動きがあり、これを作者は表現したんだ、と自分なりに解釈することができました。

今回の展覧会は鑑賞入門というだけあり、わかりやすいものでした。

美術鑑賞は作品に付いている注釈を読むことで作品への理解が深まり、時代背景や作成技法、作品の規則等の知識を得ることができますし、注釈なしで第一印象でその作品を感じとることもできます。どちらにしても自分のイメージを膨らませ、考えを巡らすことで自分の価値観や美意識をアップデートすることができるように思います。

たまに美術展に足を運ぶのもいいですね。

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