先日京都に旅行し、京都迎賓館を見学してきました。
京都迎賓館は、平成2年(1990年)、京都府知事、京都市長、京都商工会議所会頭の連名で、平安遷都1200年記念行事の一環として京都に和風迎賓館を建設するよう政府に申し入れられました。その後平成6年(1994年)の閣議で建設が決定し、場所は京都御苑内饗宴場跡地とされました。
建築は歴史的様式の和風ではなく「現代和風」を基調とし、現代和風とは単なる和風の近代化ではなく、1200年にわたり京都に営み続けられてきた日本建築の伝統の枠を現代と融合させる努力を通じて創り出された世界です。そして庭(自然)と建物が一体化された「庭屋一如(ていおくいちにょ)」の空間をコンセプトとした、大小高低のある建物を威圧感のない穏やかや佇まいに内外を整え、外国人に日本らしさを伝えるために構造的にも造形的にも精緻な創意工夫が設計者に要求されました。同時に京都の匠たち(大工、左官、経師、塗師、建具師、庭師など)や室内装飾や家具、調度品にも多岐にわたる領域(漆芸、蒔絵、截金、金工、染織など)の匠たちの伝統的技能がちりばめられました。
見学していて、様々なところに趣があり緻密であり優雅であり、日本の文化について改めて考えさせられました。「おもてなしは文化である」と言われますが、日本のもてなし方が国賓の方々を通じて日本の文化を世界に発信している担い手をしているのがこの京都迎賓館だと思います。日本の工芸について見聞を深め、日本人としての心のありようを勉強していきたくなりました。
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